8月31日(金)
朝のジョギング

アントワープの暮らしはこの、
お城のある公園の近くのアパートで始まった。
それから今の場所に引っ越したが、引越してからも、たまに訪れる。
あの頃、朝、この公園で時々ジョギングをした。
走っている人もイヌの散歩に来ている人も、
誰も視界に入ってこないことがよくあって、
この公園を独り占めしているような気分になったものだ。
あの頃、私はまだ友達もいなかった。
日本人だって誰も知らなくて、
今思えば、広い公園を一人で走っていて、
ぽつんと世界から取り残されたような寂しさがあったように思う。
思うけれど、
それは今だからそう思うのだ。
あの頃は慣れないことだらけで毎日が必死で、
そんな風に感じてはいなかった。
時を経て、あの公園が過去の風景になった今だから
「ああ、あの頃は寂しかったんだな」と認識している。
頑張ってたな、私。
ここに来るといつでも、
きゅん、とするような甘酸っぱい思いがあふれてくる。
この公園は、私のアントワープの生活の原点だ。
人は誰でも、
そんな、自分を初心に返らせる場所を持っていると思う。
そしてそこは日常よく来る場所ではなく
かつてよく来た場所でなければならない。
「過去のもの」になってから
特別な思いを抱かせる特別な場所に変わる。
そして私を励ますのだ。
頑張れ私。あの頃の私のように。
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