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聖夜にちなんで④『誕生日の子どもたち』

 

カフェボンボンのクリスマス特集第4弾は、せつない愛と哀しみが胸に迫る、美しいストーリーを。

『ティファニーで朝食を』や『冷血』で知られるトルーマン・カポーティの自伝的な作品です。

家族と過ごした特別な日の思い出は、決して色あせることはない。幼い日々のかけがえのない出来事を書いた珠玉の短編集です。

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誕生日の子どもたち
著者:トルーマン・カポーティ/訳:村上春樹
出版社:文藝春秋

アメリカ南部の美しい景色を背景に描かれる、特別な日の記憶。

たくさんのごちそうを準備する感謝祭。クリスマス・タイムの始まりを告げる冬の日の朝。楽しい日々に暗い影を落とす愛する人との別れの予感や、将来を暗示する屈折した心の動き……。そして、大好きなおじいさんとの永遠の別れの日。

幸福感あふれる『クリスマスの思い出』では、七歳のバディーと六十歳を過ぎても子どものような従姉のスックとの心温まる日々が、みずみずしく描かれています。

クリスマス・シーズンが到来すると、三十個ものフルーツケーキを焼くふたり。ピーカンの実やサクランボ、ジンジャー、バニラ、レーズン、それからウイスキーもたっぷり入った特製ケーキです。

もちろん、お気に入りの人にプレゼントするためなんですけど、その“お気に入り”が面白いの。ローズヴェルト大統領や、手を振り合うだけのバスの運転手さんだったりするんです。

繊細で無垢な心がとてもせつなく、スックがバディーに注ぐ惜しみない愛に何より胸を打たれます。

スックとバディーの「朝時間」は、牧草地で凧あげをしたクリスマスの日の朝。お互いに贈り合った手作りの凧が、空の魚のように風の中を泳いでいきます。

本の傍らにはクリスマスドリンクの定番、エッグノッグを。アメリカ南部伝統の冬の飲み物といわれています。卵黄に牛乳と砂糖をシェーク、ブランデーやラムを入れるとおとなの味になりますが、ノンアルコールでもとても美味しく、体がぽかぽかします。

上品な白い装丁の単行本もおすすめです!

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誕生日の子どもたち
著者:トルーマン・カポーティ/訳:村上春樹
出版社:文藝春秋

よい週末を。
Love, まっこリ〜ナ

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
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まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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